AWS AND SKYARCH
渥美俊英さんインタビュー
~AWSとスカイアーチ~
顧問 渥美 俊英
常務執行役員 高橋 玄太
第4章
『AWSのパートナービジネスって?』
高橋
私は2回しかRe:Inventに行っていないのでAndy(注.1)の話も2回しか聞いていないんですが、Andyが最初からいるんですか?
渥美
第1回目のRe:Inventの初めの基調講演、私が先程聞いたとお話した講演はAndyですよ。
高橋
彼はずっとAWSにいる人なんですか。
渥美
そうですよ。コンセプトは全くブレがない、毎年の基調講演で言っていることはブレはありません。
高橋
でも、彼はエンジニアではなくて、HBS(注.2)の経営学修士だというのですから、とことん経営者なんだなと思うと、とっても不思議に見えます。
渥美
やっぱりAWSというより、AmazonのCTOワーナー・ボーゲルや、テクニカルスペシャリストのハミルトンとか、ああいう人たちの考え方を、ビジネスからうまく使い倒している。
クラウドの革新的技術でビジネスがどう変わるかっていうことを、形にわかりやすく説明しているのがAndyなのかなと思っています。
高橋
そういう人がリードして、見事に0から10年で1兆円の利益が出る商売を、最短でやっているからミラクルな話ですね。
そのミラクルな処に日本の様々なユーザー企業であるとか、SI(注.3)という人たちが参加し始め、エコシステム(注.4)が形成される。
スカイアーチで言うと「アドバンスドコンサルティングパートナー」という立ち位置になっているんですけど、今のエコシステムの現状とか、そもそものビジネスの仕方っていうのは、今までどんな風に推移してきたのでしょう?
渥美
AWSの面白い点において、今までITベンダーにない点って幾つかありますけど、中でも「コミュニティの重視」。
これは全てのソフトウェアのサービスが、誰でも同じように使えている、という大前提があってのコミュニティだと思うんです。
「どっかのユーザーが、お金を払ってカスタマイズをしたから、使えているサービス」ではないからこそ、「ユーザー同士が勉強し合える」っていうのは、そこから生まれたんだと思います。 今までであれば、大きなシステムを組むには、ハードウェアを買うなり、借りたりだったんですけど、クラウドの場合思いつけば…すぐにクリックすれば、時間単位で使えるので、「自分で試す」事とか、「事例を共有」する事が出来る。この2つが今までのITと異なる点です。
高橋
うーん、そうですね。
渥美
それが無いと、ここまで熱狂的なコミュニティは、無かったのではないかと思いますね。
高橋
AWSのビジネスエコシステムの中では、「コンサルティングパートナー」と「テクノロジーパートナー」とがいて、Amazon自体が組織を創ってコミュニティを回っていますけど、このパートナーのビジネスって、今までのITのビジネスと比較すると、何が異なっていると考えていらっしゃいますか?
渥美
パートナービジネスについては、今まで、自分が30年余り、前々職のシステムインテグレーターで、新しい技術を世の中に展開していくという役回りをしてきたんですね。
結局の処、そこでパートナーとITベンダーとのビジネスの話は新しいものは高付加価値で高粗利だと、人の工数も単価が決めるというモデルでITの業界は進んできたと思います。
それに対して、Amazonの場合はそもそもマージンがない。
パートナーに対する粗利の分は値下げをしていくという方針なので、ソリューションに徹していくということに集中せざるを得ない。
それは最終的にはパートナーにとってはキビシイものなんだけど、最終的なエンドユーザーの利益、メリットというのはそこに一番実現されるというもので、この数年間で大きく変わってきたなと感じるところです。
注.2:ハーバード・ビジネス・スクール (英: Harvard Business School, HBS)ハーバード大学の経営大学院。
注.3:システムインテグレーター。システムインテグレーションを行う企業。
注.4:生態系の意。特定の業界全体の収益構造。